陽性と諺

最近、嫁がピリピリしていて、毎日のようにケンカしている。

仕事で疲れていて、家でも安らげない。

家でも気を遣わなければならないのは辛い。

離婚するつもりはないのだが、脳裏に離婚の文字がよぎる。

 

その日もケンカして、疲れて夕方ふて寝をしていたら、嫁が出ていた。

(怒ってどこかに行ったのかな……)

少し先行きを心配しながら、寝ているとしばらくして帰ってきた。

家に戻って来てくれたことに安堵していた。しばらくするとーー

 

「妊娠してる!!」

 

と驚きの知らせを受けた。

 

「!!?」

 

妊娠検査薬の陽性反応を何度も2人で確認する。

見方は正しいのか、見間違いでないかを確認する。

何度確認しても、陽性だ。

 

不思議なもので、嫁も体調不良の原因が分かってからはケンカしていない。

僕も何を言われてもつっかかる事はない。

 

 

僕たち夫婦は2度流産を経験している。

今回の知らせは妊活をしていた僕たち夫婦にとって嬉しいものだが、不安の方が大きい。

妊娠初期の赤ちゃんの血管は髪の毛よりも細いらしい。

そんな血管に心臓が動いて血液を送る。

僕らの期待や希望を背負わせるにはあまりに儚く小さい存在。

 

今回が3度目の妊娠。

もし、次も流産してしまったら……

“2度あることは3度ある”と言う諺がある。

そう言う意味で不安は尽きない。素直に喜べない。

諺は息の長い言葉で、先人の知恵が詰まっていると思う。

その一方で“3度目の正直”と言う諺もある。

人間の知恵には二面性があるという事だろうか……

今回は、3度目の正直であって欲しい。